【放射線技師学校の皆様!】MRIの理解に苦しんでませんか?この記事で理解できます!

皆さんこんにちは

 

スイッチマンです。

 

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今回は、MRIについてのお話になります。

 

学生の皆様、大学3年次くらいになると、CTやMRI核医学など、モダリティべつの原理について授業が行われるかと思いますがどれが一番ややこしいと感じますか?

 

 

僕は断然MRIと思ってました!笑。磁石を使う概念が取っ付きにくいんですよねーX線の撮影機器の原理は割と単純だけど、MRに関しては基礎のスピンエコーを理解するだけでも難しい!!

 

僕と同じ悩みである学生さんもいらっしゃると思いますので、今回は『MRIの基礎であるスピンエコーについて』わかりやすく説明していければ、と思います!

 

ここで学んだ知識を吸収し、周りの友達に教えてあげてください。

 

国家試験の勉強は

①自分が学ぶ

②得た知識を人に教える

③教えてる段階でまた疑問がでる

④その疑問をまた解決 

 という流れで勉強していくと効率がいいです。友達間で『お前はこの分野を極めて、俺はここを極めてお前に教えるから』と役割分担するのもいいですね。人によって向き不向きな分野だってありますから!

 

 

ではでは、そんな感じで始めて行きましょうか。

 

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まず、『レントゲン、CTの原理』は、X線管球からX線が出て、硬いもの(骨など)はあまり透過せず柔らかいもの(皮膚、軟部組織など)は硬いものに比べて透過しやすいということが大前提になります。

 

これらの透過度の違いが、骨のレントゲン画像やCTの輪切り画像となって出てくるのです。

 

レントゲン、CTは

X線の透過度の違いを画像化してる

ということになります。

 

 

一方でMRIに関しては、X線に比べ単純ではありませんが少しずつ、紐解いて行きましょう。

 

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MRIというものは、核磁気共鳴(NMR)という学問が生体内のイメージング技術に応用されたものを言います。まずここでなんだか嫌な響き『核磁気共鳴』が出てきますもんね。笑

 

NMR=外部静に置かれた原子核が固有の周波数の電磁波と相互作用する現象ある。

 

何人かでこの実験してて『ちょ待って、お前この磁場空間に1回入れやー』となって入れてみると『超強力な磁場空間に人間突っ込んだらなんか画像出てきたんだが』ってな感じの分野がMRIです。発見した人はビビったでしょうね。まず、誰も入ったことのない超強力磁場に入った最初の人半端ねえですよね。笑

 

まあそんな歴史はさて置き、まずレントゲン、CT(X線)と比較しましょう。

 

X線では、何の違いで画像化したでしょうか?そう『X線の透過度』ですよね。

MRIは『X線のようにとりあえず、パルスを照射して硬いもの柔らかいものの違いでええんとちゃうん?』とはならないです。じゃあどうしようか。画像とは、何かに差を見出すことができれば作れます。『』を作るのです。

 

勉強してる人はわかるかもしれませんが、この差は『生体内の水素原子核固有の値』です。

 

言い換えれば、『生体内のある場所の水素原子核の多さおよび水素原子核の性格の違いがある』ということです。

 

 

『は?ドユコト?性格ってなんや。水素に性格とかないやろ』なってるかもしれんけど、落ち着いて行きや〜!

 

まずスピンエコー、グラジエントエコー、エコープラナー系という画像化の仕方がありますが、ここではスピンエコーを書きます。スピンエコーが理解できれば国試は大丈夫だからです。あとは暗記でいけます。

 

水素原子核の話戻ります。

 

 

※ここから大切な話に入りますので皆様メモのご用意を。

 

 

水素原子核の性格

水素原子核の量を踏まえた上で、どちらかというと、この水素原子核の性格の違いがMRIの原理では大切なものになります。

 

同じ水素原子核とはいえど、生体内にいる水素原子核はそれぞれ打たれ強さ、忍耐力が違うと考えてください。人間でも、沖縄に住んでる人と北海道に住んでる人じゃ、北海道に住んでる人の方が寒さに強いように、おなじ水素でも少し性格の違いが出てきます

 

例として頭の脳内での水素原子核に着目しましょう。

 

まず、人間の脳内の水素原子核MRIのガントリの中に入ると、一斉に同じ方向を向きます。みんな気をつけして立ってるのです。ちょっと乱暴な例えですが、この気をつけした水素原子核を全員パンチしてぶん殴ります!

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すると、性格がみんな違うので、忍耐力も違います。よって、早く起き上がってくる水素原子もいれば、ずっと『痛い痛い』言ってなかなか起き上がってこない水素原子核もいるのです。この起き上がってくるスピードを差として画像化するのです。

 

ここで、水素原子核の固有の値である、縦緩和(T1)と横緩和(T2)を解説します。

 

T1(縦緩和):90度パルスで倒された水素原子核の縦成分が63%回復した時間

T2(横緩和):90度パルスで倒された水素原子核の横成分が37%減衰した時間

 

 言葉の定義としては、このようになるのですがこの緩和を理解しないと前には進めません。

 

先ほど、脳内の水素原子核全員をパンチしましたよね?ここから話を続けます。このパンチ=90度パルスと考えてください。

 

まずはT2から説明します。パンチしたあと、みんな床に横たわると考えます。一度みんなノックアウトさせます。この横たわっている時、横緩和すなわちT2が最大となります。ここから一人一人気をつけの状態に戻っていきます。ノックアウト後『横たわる→徐々に立ち上がる→気をつけに戻る』の流れなので、T2はぶん殴られたあとが最大で時間と共に減少していきます。

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T2減衰曲線

 

次に縦緩和(T1)です。T2は徐々に減少していきますが、T1は増加していきます。パンチされた後『横たわる→徐々に立ち上がる→気をつけに戻る』の流れで気をつけした時がT1は最大となります。

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T1回復曲線

 

T1、T2の概念をある程度お話しましたが、次に、先ほど水素原子核それぞれ忍耐力が違うと言いました。同じ脳内の水素原子核なんですが、白質にいる水素原子核、脂肪、脳室内の水にいるそれとではパンチされた後起き上がってくるスピードが違うのです。

 

まずT2の差ですを説明します。

 

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T2は最初が最大で、そこから徐々に減少します。脂肪はパンチされた後、起き上がるスピードが早い=横たわってる時間が短い=T2減衰スピードが速いということになります。一方でに脳室内の水は横たわってるスピードが長く、T2減衰は脂肪に比べ遅いということになります。

 

 

次はT1の説明に入ります。

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パンチ直後、縦磁化はゼロですが、徐々に立ち上がっていきますので縦成分が増えていき、気をつけするとグラフのM0のようにT1が最大となります脂肪の水素原子核は立ち上がりスピードが速く、脳室内の水は立ち上がりが遅いので、上のようなグラフになります。

 

以上、T1、T2の解説となります。さて画像の大元である『』を見つけることができました。あとは放射線技師が設定する値で『どの差を強調するか』を変え、たくさんの画像を作っていくのです。

 

まず私たち放射線技師が設定できるのは、『TR、TE』というものです。TR、TEの概念だけでも非常に難しいですがとりあえず言葉の定義から理解しましょう。

 

TR(繰り返し時間):始めの90度パルスと次の90度パルスまでの時間

TE (エコー時間):エコーを収集する時間

 

TRの概念は大事ですが、TEに関しては少し複雑になりますので、TRを深めに理解し、TEさらっといきましょう。

 

MR画像は一度のパンチで画像が出来るのではなく、何回もパンチをして『差』を蓄積させ、画像を作っていきます。この際、パンチとパンチの間隔を短くしたり長くしたりします。短くすれば、水素原子核があまり立ち上がってないとこで画像が収集、長いとたち上がりきって気をつけした状態で画像を収集できます。(※ここめっちゃ大事です!!)

 

では、TRを短く設定した場合と、長く設定するとT1,T2のそれぞれどうなるでしょうか。

 

まずはT1からです。

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水素原子核の起き上がってくるスピードは固有の値なので変えることはできませんが、T1緩和、T2緩和の過程でどこにTRを設定すれば一番差が出るのか?に着目しT1強調画像、T2強調画像を作っていくのです。例えば『T1強調画像が欲しい→どこにTRを設定すればいい?→パンチした後少しだけ起き上がってきたとこが一番差が出る!→短いTRで!』となるのです。グラフのようにShort TRでとれば脂肪と水の差が大きく出ますよね?縦緩和(T1)の差を強調した画像なので『T1強調画像』というのです。ちなみに『T1強調画像』ではTEも短く設定します。TEに関しては短くするととりあえず暗記します。TEも話せばかなり長くなるので割愛しときます。

 

 

次にT2です。

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 T2は最初が最大でそこから徐々に横磁化が減っていきます。この中でTRを、短くするのと、長くするのでは、長く設定した方が差が出ます。『T2強調画像』が欲しい時には、TRを長くします。Long TRではT2の差をしっかり出せるのです。

 

このように、水素原子核固有の値(T1、T2)に対し、操作出来るパラメータ(TR、TE)を調整してT1、T2強調画像を作っていきます。プロトンの密度、T1、T2は変えられないTR、TEを調整し、欲しい画像を出す。ここが大切です。

 

T1強調画像が欲しい=Short TR,Short TE

T2強調画像が欲しい=Long TR,Long TE

 

以上、MRの基本でした。ここを理解できてれば、強いです。国家試験の問題はこれ以外にも、アーチファクト、造影剤、画像の問題等々出ますので、あとは暗記でなんとかなります。スイッチマンが今回解説した箇所は暗記ではなく、理解すべきだとした理由はMRIの基本中の基本ということと、実際に就職してMRIの業務にも使うからです。

 

放射線技師でも、CTの概念は理解できてるけど、MRIに関してはなんとなくでやってる方もいます。そうならないよう、大学のうちに難しいMRIの基礎だけでも理解しとくと必ず後になって役立ちますよ!スイッチマンは現在MRI担当ですが、大学時に勉強した知識だけです。MRI担当になっても別に勉強してないです大学のときに学習したので十分です。新しく登場した技術は勉強しますけども。MRIは確実に一番難しいですから、理解しとくと楽になりますよ。

 

 

 

〜スイッチマンが大学時代使った参考書〜

 

MRIに絶対強くなる撮像法のキホンQ&A〜撮像法の適応や見分け方など日頃の疑問に答えます!

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噛み砕いて書いてある参考書です!参考にされてください。

 

 

では、また。

  

 

参考文献

1)門澤秀一・荒木 力 :乳 房 のMRI(1)

MRIの 原理